手術ナビゲーションシステム

術前計画

人工関節の術前計画にあたり、外来でCT検査を受けてもらい、そのCTデータを基に、3D術前計画ソフト(3Dテンプレート)を使って、コンピュータの画面上で患者さん一人ひとりに適した人工関節の種類やサイズ、また手術方法(アプローチ)などを検討します。
適切な位置や角度に設置するためには、どのくらい切るとかどこから削るなど、患者さんの状態によって細かい手術方法は異なり、人工関節の正確な設置や脚長の微調整に非常に有用です。
また、動的な動きを定量的にチェックすることができ、個々の患者様の術後の脱臼肢位や獲得できる可動域を正確に測定でき、関節の安定性を確認できるとともに、術後のリハビリテーションに大きく役立ちます。

コンピューターナビゲーションシステムを用いた人工膝関節手術

変形性膝関節症、膝骨壊死症、関節リウマチの膝関節病変等の症例に対し、コンピューターナビゲーションを利用した人工関節手術(膝関節・股関節)を行っています。
従来法に比べて格段に正確な骨切り、コンポーネントの設置が可能です。

人工関節におけるナビゲーションの特徴と利点

人工膝関節ナビゲーション

特徴

  1. Knee Align2 は人工膝関節における大腿骨、及び、脛骨の正確な骨切除をサポートするポータブルナビゲーションシステムです。
  2. 15 ヶ国で使用されており、年間約27,500例で使用されております。
  3. 体への追加的な侵襲を必要としない為、低侵襲で、出血量、塞栓の抑制を行うことができます。
  4. モニターで確認しながら、正確な骨切除角度を確認できます。

利点

  1. インプラント設置角が手術後の長期臨床成績に影響を与える要因でもあることから、ナビゲーションを用いることで、術中のエラーを著しく下げる事が可能であるとの報告がされています。
  2. オーストラリアでの報告において、65才以下の人工膝関節におけるインプラント再置換率は、通常手技が7.8%であったのに対し、ナビゲーションでは、6.3%であり、ナビゲーションを用いた再置換率は、通常手技よりも有意に低 かったと報告しております。
  3. 侵襲の面においても、通常手技で必要とされる大腿骨髄腔への侵襲を必要としませんので、出血量の抑制、塞栓防止などが期待されます。
  4. 大腿骨骨切り角度を数値で確認しながら骨切除が可能なため、骨接合、股関節にインプラントが挿入されている症例、関節外変形の症例等の特殊症例でも対応が可能です。

人工股関節ナビゲーション

特徴

  1. Hip Align Systemは精確な手術をサポートするポータブルナビゲーションシステムです。
  2. マニュアル作業でオペを行った場合、Outlier(外れ値) が多く発生するとの報告があり、THAにおいて課題である正確な臼蓋側インプラント設置を解決するツールとして期待されております。

利点

  1. 術中に骨盤位置がずれても、角速度センサーによりトラッキングされて、臼蓋への設置誤差を生じる可能性を低減させることが可能です。
  2. リアルタイムに骨盤角度の確認が可能で、数値による角度の確認ができます。(外方開角、前方開角を1°刻みで表示)